AIとソフトウェア開発の新しい関係性 - "コードを書く"から"意思決定する"へ
- 株式会社デジロウ
- 4月15日
- 読了時間: 4分
目次
はじめに
当社は2007年からソフトウェア開発の事業を行なってきました。この18年の間に業界は大きく変化してきましたが、生成AIの登場により、ソフトウェア開発の手法はこれまでにない速度で変革の時を迎えています。
「開発のスピードが上がった」「コストが下がった」――そんな話はよく耳にします。けれど、実際に起きている変化はそれよりもずっと本質的なものです。開発そのものの"意味"が、根本から変わりつつあるのです。
本記事では、開発の仕事がどう変わるのか?そして私たちはどう向き合うべきなのか?を、当社の実体験と共にご紹介します。もしあなたが経営やDXの推進を担っている立場なら、「何を重視して、どこに時間やコストをかけるべきか」の判断にも必ず役立つはずです。
変わりゆく開発現場 - コーディングの主役は、もうAI
当社の開発現場では、コードを書く工程の9割近くをAIが担当するようになりました。
もちろん、AIは万能ではありません。出力されるコードにはまだまだ粗も誤りもあります。しかし、エンジニアの意図を的確に伝えれば、AIが「しっかり動くもの」を驚くべき速さで生成してくれるようになったのは紛れもない事実です。
この変化により、エンジニアが担う役割は明確にシフトしました。
設計・要件定義に集中する
出力されたコードをレビュー・選別する
AIに適切な指示(プロンプト)を与える
つまり、人間がやるべきことは「判断と対話」が中心となってきているのです。コードを書く技術よりも、「何を作るべきか」を見極める力や、AIとの効果的なコミュニケーション能力が重要になってきています。
旧来の開発手法とAIの相性問題
よく「AIを導入すれば開発が早くなる」と言われますが、それはプロセス全体がAIに最適化されている場合に限ります。
例えば、従来型のソフトウェア開発プロセスは以下のようなものでした。
要件を文章でまとめる(数週間)
詳細設計に落とし込む(数週間)
実装 → テスト(1〜2ヶ月)
→ 途中で仕様変更が入ると手戻りが発生し、開発が遅れることに...
このプロセスでは、AIを導入しても開発の根本的なスピードは向上しません。なぜなら、AIが最も得意とするのは「高速な仮説検証と繰り返し」だからです。従来の開発プロセスはこの強みを活かしきれないのです。
当社が実践する"AI時代型"の開発モデル
このような認識のもと、当社は現在、AIの特性を最大限に活かした開発モデルを採用しています。
【ステップ1】ヒアリングした内容を即座に文章化
議事録ではなく、機能要件としてすぐに文章化。AIとの対話ができる状態を構築。
【ステップ2】文章(PRD)をもとにUIモックを自動生成
AIツールを使って、UIイメージを1時間程度で作成。
【ステップ3】モックをもとに要件・仕様を精査
モックを使って、顧客とすり合わせながら仕様を具体化。
「ドキュメント」ではなく「具体的な画面」を見ながら話すことで、理解が数倍速く深まる
【ステップ4】AIでプロトタイプを開発
設計が固まったら、AIにプロンプトを渡してプロトタイプを構築。
【ステップ5】プロトタイプをレビューし、PRDをアップデート
動くプロトタイプを使って、次の設計や改善を素早く回す。
結論:「コードを書く」時代から「仮説を作る」時代へ
AIの登場により、開発者の役割は根本的に変化しました。
「手を動かすこと」が価値だった時代から、「何を作るべきか」「どう伝えるべきか」が問われる時代へ
経営者やDX担当の方がこの変化を正しく理解し活用すれば、以下のような効果が得られるはずです。
より速く検証できる開発体制の構築
仕様変更に強い事業プロセスの実現
開発コストの圧縮と、創造的な領域への再投資
当社自身、この変化の波に揉まれながら、改めてソフトウェア開発の面白さと可能性を実感しています。AIは私たちの「道具」ではなく、「共創パートナー」になりつつあるのです。
当社のAI駆動型ソフトウェア開発サービス「DigiFlow(デジフロウ)」では、このAI時代の開発プロセスを活用し、お客様のデジタル変革を流れるようにスムーズに実現します。詳細はお問い合わせください。